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ドイ家の留守番猫

TNRの道で

ハヤタとマー君は野良猫が増えすぎた廃材置き場で生まれた子です。
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どこにでもある猫をめぐるトラブルが、そこでも慢性的に起こっていました。
避妊せずにエサやりを続ける人、猫を捨てる人、そして猫迫害に走る猫嫌い住民。
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ハヤタとマー君の母猫、そして兄弟。

昨年12月、この近辺で毒薬がまかれ、外飼いの猫も含め多数の猫が毒殺されました。
殺された猫の飼い主によると、猫はおぼつかない足取りで帰ってくるなり
部屋中のた打ち回り、泡を吹いて苦しみ悶えながら死んでいったそうです。
野良猫の頭数が半減するほどの凄惨な所業は、地域住民をも不安に陥れました。
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エサやりさんが一日一回エサを置いていきます。

そして今年、同じ廃材置き場で又しても子猫が次々と生まれました。
劣悪な環境のために生きられず道端で枯れ枝のように死に絶える子、目が見えない子、
ガリガリに痩せてよろめきながら歩く三本足の子。

見るに見かねた近所の女性たちが、こんな光景はもう終わりにしたいと、声を上げました。
猫たちを助けてやりたい。避妊て、どうするの。
慣れないネットを使って、地元の動物愛護推進委員の高田さん(仮名)に辿り着きました。
高田さんから「地域猫」を提案された女性達は、猫のためならと二つ返事で受けました。
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「私、猫全然好きじゃないんだけど、でもあんなの見たら、可哀想だもの。」
柴犬二頭を飼う主婦の初下さん(仮名)は、目をうるませながらそう言いました。
干からびた子猫の遺体を見たときの悲しみが今でも忘れられないそうです。

猫がダメと公言しながら目の前の猫を救ってやりたくて奔走する初下さん。
一方で、「野良猫なんて全部いなくなればいい」と吐き捨てるように言う愛犬家もいます。
この人は地元の「愛犬友の会」会長で、動物愛護推進委員の肩書きも持つオヤジ男性。
市主催の会合での発言を、同席していた高田さんが聞いていました。
「犬だけ愛護推進委員」の間違いじゃないの。


高田さんの主導で行った二回の捕獲で、オス1匹、メス4匹を保護、
リリース予定で避妊手術をしました。
メスはいずれもお腹が大きくて、4匹、5匹、5匹、7匹、計21匹を堕胎しました。
生まれる直前の子もいました。
間に合って良かった、といえる心境ではありません。
かといって、既にお腹にいる子は産ませて里親を探しましょうなどといえる数でもなかった。
産ませて地域猫としてお世話しましょうなどといえるような好ましい環境でもない。

臨月に入ってからの避妊中絶は母体にとってリスクの大きい処置です。
開腹範囲が広く出血が多く術後の回復には時間がかかる。
術後すぐのリリースが母体に与えるダメージはどれほどのものか。
高田さんはメス猫の避妊の場合、妊娠の有無に関わらず
術後回復するまで知り合いに預けて静養させます。
目安は5日。それ以上長くなると、猫がなわばりを失うそうです。

臨月に入れば、もはや「胎児」ではなく、立派な「子猫」です。
それでも「生まれて」いないのだから、殺したわけではない。
どんな言い訳を考えても、絞めつけるような心の苦しみは止まない。

「今、現に生きている猫たちの命を守ることが先。」
長年たった一人で地域猫活動を進めてきた高田さんの言葉が重い。

一度に21匹増えるところだった。
21の小さな命を奪った。
どちらも事実です。
しかも妊婦猫はこれで全てではない。
事実の重みと胸の痛みを抱えながら、高田さんは歩いてきた。
初めてTNRの現実を目の当たりにして、甘っちょろい感傷を吹き飛ばされました。

全頭把握もまだしていないうちに、とにかくお腹の大きい子から手当たり次第始めたTNR。
TNRの前の準備段階が始まったというだけで、骨の折れる基礎工事はこれからです。
個体把握及び台帳管理、近隣住民(特に猫嫌い)の説得、自治会への働きかけ、エサやりさんとの交渉・・・。
今生きている猫の命を守りながら、将来の野良猫数ゼロを目指して。
道は平坦ではありませんが、実現不可能な目標ではありません。


そんな中で、捕獲が間に合わず生まれてきたのがこの子たちです。
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可愛いね、よく生まれてきたね、元気で大きくなるよ。
避妊!堕胎!と必死だった高田さんが相好を崩して、愛おしそうに声をかけます。
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今は高田さんが毎日勤め先へ連れて行って24時間授乳をしています。
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離乳後はバトンタッチしてドイ家でお世話する予定です。
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元気で大きくなあれ。でも、ゆっくりでいいよ。




子猫たちの父親。去勢手術済です。
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子猫保護中もずっと母猫と共に近くにうずくまり、心配そうにこちらを見つめていました。

母猫から離したのは、子猫が衰弱していてお乳の出が悪そうであると疑われたからです。
母猫はリリース対象のため保護できませんでした。




―exciteブログに文句―
先月あたりから日々の記事の最下段↓に広告が勝手に載ってきますが。
ペットショップの広告、何とかして。 「素敵な家族をさがしませんか?」とか、言うな。
by suessekatzen | 2010-07-31 23:58 |
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共働き家庭でお留守番する猫二匹、ときどき夫の愚痴。